鳥類PGCの移動に関する総説(レビュー)論文を発表しました。

将来配偶子となる始原生殖細胞(PGC)は、胚発生中に胚体外で生じ生殖腺まで移動します。中でも、鳥類PGCは血管系を移動に利用します。これは、鳥類と一部の爬虫類でしか見られません。この特徴により、鳥類PGCは胚からの単離、胚への移植を効率的に行うことができます。さらに、鳥類PGCは長期培養法が確立されており、遺伝子操作を容易に行うことができます。その結果、トランスジェニック(遺伝子導入)鳥類の作出が可能となり、家畜の改良や絶滅危惧種の保存などへの応用が期待されています。また、PGCは胚内での高解像ライブイメージングが可能であるため、研究においても有効なモデルとなります。移動に血管系を用いる点は、がん細胞や免疫細胞にも共通しているため、細胞移動研究モデルに適しています。さらに、なぜ生殖細胞は胚体外で生じて長距離の移動を行うのかなどの発生生物学における疑問に重要な知見を与えられる可能性があります。

近年、ニワトリPGC培養成功を契機として、PGC移動に関する重要かつ興味深い研究が加速しています。そろそろ鳥類PGC移動研究の知見を系統的にまとめた総説が欲しいところでしたが、これまで存在していませんでした。


そこで私はこの総説論文を報告しました。鳥類PGC研究の歴史的経緯を振り返るとともに、PGCの移動メカニズムに関する最新の分子・細胞レベルの知見をまとめ、さらに研究への応用および今後の課題について議論しています。(文責:森本)

論文リンク:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1046592825001305?via%3Dihub