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研究内容research

C.elegansをモデルとした高次生命現象の分子遺伝学的解析
-中枢神経系における行動やホメオスタシスの制御-



 動物は、環境から様々な刺激を感覚神経で受容し、その情報に基づいて応答し、行動、発生、ホメオスタシス
など様々な制御を行っています。このような過程では、情報は過去の経験に基づく記憶などと照合されて適切に修飾されるとともに、情報の一部は学習され記憶として保持されています。このような脳・神経系の基本的な機能は、複雑な神経系を持つ哺乳動物から線虫のような比較的単純な神経系を持つ生物でも生存するために必要です。


 線虫Caenorhabditis elegansは、ブレンナーによって高次生命現象の遺伝学的解析が可能なモデル生物として導入されました。その後の解析により、C. elegansの神経系は、神経細胞が302118種類であり、それらが、約5000個の化学シナプス、600個のギャップジャンクションを介して神経ネットワークを形成していることなどが明らかにされています。また、ゲノムプロジェクトの結果、約2万の遺伝子を持つことがわかっています。このように、C. elegansは、遺伝子レベルでの複雑さは保ちながら、神経解剖学的な複雑さを回避できるモデル生物として、分子、神経回路、行動のそれぞれを結びつけて神経系を解析するのに適しています。


 分子遺伝学研究室では、線虫C. elegansの神経回路上での情報処理のメカニズムやそれに基づいた発生やホメオスタシスのメカニズムに興味を持って、主に遺伝学的な研究を進めています。遺伝学的な解析では、生命現象と遺伝子を、変異体を介して直接結びつけることができます。このことを利用して、行動やホメオスタシスといった複雑な生命現象と遺伝子とを結びつけ、さらにその間の関係を行動・形態・神経活動・代謝などの詳細な解析から明らかにしていくことで、新しいシステムを発見することを目指しています。




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