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個体の調和が保たれる仕組みresearch 3

感覚情報によって体のサイズや脂肪貯蔵量がコントロールされている

 
 感覚情報を受け取れない線虫は、体のサイズが小さく、また、体の中の脂肪貯蔵量が増加しています。

私たちのこれまでの解析によって、この調節にかかわる信号伝達物質が次々と同定されており。感覚情報に依存した体のサイズや脂肪貯蔵量の調節の仕組みが明らかになりつつあります。



生殖腺からのシグナルが匂いの好みを変える


  動物の行動は性的成熟の度合いによって変化することが知られています。その分子的基盤を明らかにすることを目標に、まず、線虫において生殖腺の成熟が行動にどのような変化をもたらすかを調べました。

 線虫はいろいろな匂いに対して寄っていく性質がありますが、二つの匂いを提示してどちらにより寄っていくかを調べたところ、幼虫と成虫では匂いの好みに変化があることがわかりました。下の図のように、幼虫に比べて成虫はジアセチルをより強く好むようになります。



 このような匂いの好みの変化のメカニズムを調べるために、私たちは成虫の生殖細胞を人為的に取り除く実験をしてみました。すると、成虫でもジアセチルに対する創世の低下を示すことが分かりました(右図)。


このことから私たちは、幼虫期から成虫期にかけて増殖する生殖細胞から、なんらかのシグナルが出て、ジアセチルへの好みを増大させているのではないかと推測しています。私たちは現在、このメカニズムを明らかにするために、分子遺伝学を駆使した解析を行っています。


九州大学 分子遺伝学研究室

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