神経活動のイメージング
C. elegansは、遺伝学的な解析や行動の測定などには、大変便利なモデル生物ですが、電気生理学などを用いて神経活動を測定することは、これまでほとんどできませんでした。そこで、体が透明で遺伝子導入が容易であることなどの利点を生かして、Ca2+感受性GFPプローブなどを用いた生きたままのC. elegansにおける神経活動の可視化を試みています。この技術を用いて、野生型と変異体の神経活動の比較することなどから、情報処理の神経回路レベルのメカニズムを明らかにしたいと考えています。
私たちの研究室では、現在、C. elegansにおける神経活動の様子を解析するために、Ca2+感受性GFPであるYC3.60を用いたin vivoイメージングを確立しています。
右の図は、対物レンズを高速に動かすことができる高速共焦点顕微鏡の外観。左下の図は、得られた画像の解析方法。右下の図は、多数の中枢神経系のニューロンにおいて、神経活動を測定した画像。赤いところは、活動している神経細胞を表しています。
記憶を忘れるメカニズム
学習は、記憶の形成、保持、想起、消去など様々な過程から成り立っている複雑なシステムです。私達の研究室ではは、線虫C. elegansを用いて、短期記憶の消去の分子機構を明らかにする目的で、「記憶を忘れない」変異体の解析を開始しました。ジアセチルに対する応答や順応には異常はないが、順応からの回復が見られない変異体を単離しました。その解析から、ある感覚ニューロンから忘却を促すシグナルがでていることが明らかになりました。