第22回九州大学理学部生物学科公開講座

【日時】2023年8月11日(金)13:30〜16:00
【場所】オンライン同時配信
【対象】高校生および市民
【定員】約200名
【参加費】無料
【主催】九州大学大学院理学研究院・生物科学部門
【連絡先】生物学科教育支援室(担当 中條信成; 092-802-4269)

公開講座フライヤー


講演内容

高校生の受講者が多いため、最初に九州大学理学部生物学科の紹介を行った後に以下の2名の先生方による講演を行います。

再現しようとする試みから四肢発生原理を理解する
熱田 勇士(動物発生学研究室・講師) ATSUTA Yuji, Lecturer

私たちのグループでは、脊椎動物の四肢(手足)を研究モデルとして器官形成メカニズムの解明に挑んでいます。これまで四肢発生メカニズムの研究は、四肢形成過程に関わりそうな遺伝子を破壊(ノックアウト)し、その遺伝子の役割を調べるという研究が主流でした。例えるならば、組み立てたジェンガから棒を引き抜き、どの棒がなくなることにより、ジェンガが崩れるかを調べるというようなアプローチです。私たちは反対に、どのように棒を使えばジェンガタワーを組み上げられるか、つまりどの遺伝子が四肢細胞作り出すのに十分な働きを持つかを調べています。より具体的には、数多くの遺伝子の中で、肢芽(四肢の元になる組織)でのみ発現する遺伝子群を洗い出し、さらにそれらの中から線維芽細胞を四肢細胞へと転換(ダイレクトリプログラミング)する遺伝子を探索しています。こうしたアプローチは四肢発生の理解を深めるだけでなく、他の細胞種から四肢細胞を生み出す手法の開発基盤になりうることから、再生医療の発展にも貢献できると考えています。
図の説明:(A) 緑色蛍光タンパク質(GFP)を導入したニワトリ胚の前肢 (B) 線維芽細胞からダイレクトリプログラミングによって生み出された四肢前駆細胞様細胞の塊

くさい蛙の真相 ― においに秘められたメッセージとは?
吉村 友里(生態科学研究室・助教) YOSHIMURA Yuri, Assistant Professor

みなさんはカエルのにおいを嗅いだことはありますか?日本にはツチガエルというカエルが生息しており、捕まえると野菜のゴーヤのようなにおいがします。私は本種が何故においを出すのかと疑問に思い、研究を続けてきました。本講演では、“カエルの天敵”とも称される蛇(シマヘビ)を用いた行動観察実験やガスクロマトグラフィー質量分析装置を用いた揮発性成分分析の結果などをご紹介しながら、このツチガエルのにおいの真相に迫りたいと思います。さらに、本種とよく同じ場所に生息している有毒のアカハライモリが出すにおいとの関係にも触れ、似たにおいを持つ生き物たちの戦略や擬態についてもお話します。


過去の公開講座

2013年(平成25年)第12回:川畑, 市川
2014年(平成26年)第13回:伊藤, 池ノ内
2015年(平成27年)第14回:射場, 寺本
2016年(平成28年)第15回:谷村, 佐竹
2017年(平成29年)第16回:矢原, 高橋
2018年(平成30年)第17回:舘田, 祢冝
2019年(令和元年)第18回:釣本, 粕谷
2020年(令和2年)第19回:斎藤, 手島
2021年(令和3年)第20回:松尾, 仁田坂
2022年(令和4年)第21回:立田, 藤原

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