第20回九州大学理学部生物学科公開講座

【日時】2021年8月14日(土)13:30〜16:00
【場所】オンライン同時配信
【対象】高校生および市民
【定員】約200名
【参加費】無料
【主催】九州大学大学院理学研究院・生物科学部門
【連絡先】生物学科教育支援室(担当中條信成; 092-802-4269)
【参加申し込み】以下のボタンを押して表示される、参加申し込みフォームから事前予約をお願いします。
registration7月上旬より予約受付を開始します。

公開講座フライヤー


講演内容

高校生の受講者が多いため、最初に九州大学理学部生物学科の紹介を行った後に以下の2名の先生方による講演を行います。

記憶の実体を科学する
松尾 直毅(行動神経科学研究室・教授) MATSUO Naoki, Professor

私たちヒトを含む動物には、外界の情報を脳内に記録し、それを適切に引き出す“記憶・学習”の機能が備わっています。これは動物の生存に必要であると同時に、私たちの精神活動の源ともいえる重要なものです。目に見えない心的な現象である記憶の研究は心理学で扱われてきましたが、近年の分子生物学、遺伝学、脳内活動イメージングなどの最先端の生物学的研究手法により、その実体である物質的基盤が明らかになってきました。また最近の研究により、特定の記憶を担う神経細胞を脳内で可視化したり、その細胞活動を操作することによって記憶を人為操作するといったSF映画のようなことも可能となりつつあります。このような記憶の仕組みについて、マウスを用いた私たちの研究成果を交えてお話します。


図の説明:マウスの海馬の蛍光顕微鏡写真。ある記憶を担う神経細胞を緑色蛍光タンパク質で可視化しています。

 

 

アサガオの変異体から植物の形づくりの仕組みを探る
仁田坂 英二(植物多様性ゲノム学研究室・准教授) NITASAKA Eiji, Associate Professor

我々の研究室では、江戸時代に起源を持つアサガオの変異体を材料に用いて、植物の形づくりの仕組みや、動く遺伝子(トランスポゾン)について研究を行っています。日本で独自の発達を遂げたアサガオは、少数の個体に由来するため、系統間で塩基配列の違いが非常に少なく、ほとんどの変異はトランスポゾンによって誘発されています。そのため、トランスポゾンを目印に変異の原因となる遺伝子を同定することも容易です。アサガオに見えないような奇妙な形の変異体では、植物の位置情報を決める遺伝子が壊れ、正しい位置に器官を作ることができなくなっていました。アサガオの葉には左右に飛び出した「翼片」がありますが、これを欠く変異体では、他の植物ではその働きが知られていない遺伝子が関わっていることも明らかになっています。この講演では、九州大学で保存されている様々なアサガオの変異体と、これらを用いて明らかになった最近の知見について紹介します。


図の説明:代表的なアサガオの形態形成変異体。上段は江戸時代末期、1854年に出版された「朝顔三十六花撰」に描かれているアサガオ。下段は上段のアサガオと同じ変異を持つ現代のアサガオ。いずれも種子をつけないため、変異をヘテロ接合で隠し持つ、野生型のきょうだい株から採種し維持している。


過去の公開講座

2013年(平成25年)第12回:川畑, 市川
2014年(平成26年)第13回:伊藤, 池ノ内
2015年(平成27年)第14回:射場, 寺本
2016年(平成28年)第15回:谷村, 佐竹
2017年(平成29年)第16回:矢原, 高橋
2018年(平成30年)第17回:舘田, 祢冝
2019年(令和元年)第18回:釣本, 粕谷
2020年(令和2年)第19回:斎藤, 手島

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