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植物の栽培法

班員が使用している植物栽培のプロトコールです。
 寺島班(シロイヌナズナ)
 榊原班(イネ・シロイヌナズナ)
 廣瀬班(シロイヌナズナ)

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寺島班


1. シロイヌナズナ(Columbia-0)


1)培地/土壌条件


1-1) 培地栽培の場合の条件

MS-base medium (Sigma M0529, Sigma, Kanagawa, Japan), 2.97 mM CaCl2, 1.5 mM MgSO4·7H2O, 1.25 mM KH2PO4, 5.12 mM 2-Morpholinoethanesulfonic acid (MES), 4.99 mM K2SO4, 10 mM KNO3, 0.25% (w/v) Gellan Gum

pH 5.7 (KOH)


1-2) 土壌栽培の場合の条件


1-2-1) 目の細かいバーミキュライト(Vern-piece; Hakugen, Tokyo, Japam)とMetro Mix 350 (Sun Gro Horticulture, Bellevue, WA, USA) を(1:1)で混合したもの


1-2-2) 肥料の硝酸濃度をふる場合は、バーミキュライトのみ。根付かせるために、ロックウールを小さめに切ったものの上に植物を植える。

 この場合の肥料は、

1.5 mM MgSO4, 1.33 mM KH2PO4, 0.05 mM EDTA–Fe, 0.01 mM MnSO4, 1 μM ZnSO4, 1 μM CuSO4, 0.05 mM H3BO3, 0.5μM Na2MoO4, 0.1 mM NaCl, 0.2 μM CoSO4

硝酸はKNO3とCa(NO3)2の1:1混合液を必要な濃度に合わせて使う。低硝酸にする場合、KClとCaCl2の混合液でKとCa濃度を合わせる。


2) 光強度・日長

90 - 110 μmol photons m-2 s-1

長日:14 h明期 (10:00 - 24:00) /10 h暗期

短日:8 h明期 (10:00 - 18:00) /16 h暗期


3) 温度・湿度

23℃

湿度60 - 70%


4) その他

播種後、暗所で二晩、春化処理を行う。土に植えた場合は、ラップをかけ、さらにアルミホイルで覆う。

春化処理後、生育場所に移す。この日を0-dayとする。アルミは外す。

発芽後、数日したらラップを外す。

プレートに播種し、植え替える場合は、長日だと10-dayに植え替える。

水やりは、一日おきに行う。

肥料は一週間に一度あげる。


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榊原班


1. イネ (日本晴:Nipponbare)


1)培地/土壌条件

 土植えの場合と水耕の場合の2通りを書きますが、根のサンプリングが必要ですので水耕で行なう予定です。


1-1) 土植えの場合

土壌 JA粒状くみあい合成培土3号、粒状芝の目土


1-2) 水耕の場合

 水道水をHClにてpH5.0-5.5に調整した後、下記の各種元素を入れる。


水耕液に入れる元素(化合物,終濃度)

N (NH4NO3, 1 mM)

P (NaH2PO4/2H2O, 0.6 mM)

K,S (K2SO4, 0.3 mM)

Ca (CaCl2/2H2O, 0.3 mM)

Mg (MgCl2/6H2O, 0.4 mM)

Fe (Fe-EDTA, 45 uM)

B (H3BO3, 50 uM)

Mn (MnSO4/5H2O, 9 uM)

Cu (CuSO4/5H2O, 0.3 uM)

Zn (ZnSO4/7H2O, 0.7 uM)

Mo (Na2MoO4/2H2O, 0.1 uM)


2) 光強度・日長

およその光強度 20000 Lx

日長 13時間明/11時間暗


3) 温度・湿度

温度 28℃

湿度 60%


4) その他

種まきからの流れ

30℃ 暗所 1日 水道水で発芽させる。

その後水道水(PH5.0-5.5)で1 − 2週間生育後、水耕液または土へ

土植えの場合・・2 − 3日に一度鉢を並べたバットに水を張る。

水耕の場合・・水が減ったら水道水を補充。1週間に一度は水耕液を入れ替える。幼植物を移植した後の水耕液の濃度は1/4濃度からはじめ、1/2、3/4、1倍と2週間ごとにあげていく。出穂2週間以降は水道水のみ。



2. シロイヌナズナ

Arabidopsis thaliana (Columbia, Col-0)


1) 培地/土壌条件

MGRL培地 (寒天培地、土、水耕用いずれも)

寒天培地:和光純薬 植物培地用 agar powder 使用 (0.8% or 1%)

土:バーミキュライトとパーライトを一対一で混ぜたもの(栄養をコントロールしたい場合)、又はサカタのスーパーミックスA


環境条件

SANYO人工気象器


2) 光強度・日長

おおよそ100 - 120 µmol m-2 s-1

16h light/8h dark 


3) 温度・湿度

温度 22℃

湿度 60%


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廣瀬班


1. シロイヌナズナ Arabidopsis thaliana

ABRCより51のエコタイプを購入し使用している。

(小口理一さん・彦坂幸毅さんの2009年6月以降の栽培条件)


1) 培地・土壌条件

川砂(ホームセンターで市販しているもの)。鉢底には根が絡まらないように、ネットではなく、市販の鉢底石を使用した。


ポットのサイズ・栄養条件

Arasystemのトレイを使用した:一トレイあたり51株育てることができ、一株のサイズは直径5cm、高さ5cm。 

水耕液(Hewitt & Smith 1975を改変したもの)を播種後12日目に1個体につき20 ml、28日目に1個体につき40 ml与えた。


水耕液の各栄養塩濃度

KNO3: 4 mM, Ca(NO3)2: 4 mM, MgSO4: 3 mM, NaH2PO4: 2.66 mM, FeNa-EDTA: 0.05 mM, MnSO4: 10μM, ZnSO4: 1μM, CuSO4: 1μM, H3BO3: 50μM, Na2MoO4: 0.5μM, NaCl: 100μM, CoSO4: 0.2μM 


生育CO2濃度

ambientと800uL L-1の2条件。現状の日本医化のファイトトロンはCO2濃度のロガーが無いのが問題。CO2濃度の調整は設定以下の濃度になると単純にCO2を付加する方法を採っており、CO2濃度を下げる方向の調整が利かないため、ambientの濃度が通常大気CO2濃度よりも高くなっている可能性がある。


2)光強度・日長

光強度は普段はランプを1つだけ点灯しておいて、真昼の1時間だけランプを5つ点灯するという条件。ランプ一つの時が130 μmol m-2 s-1、ランプ5つの時が、660μmol m-2 s-1という光強度。日長は10時間(10時から20時まで)。


3) 温度・湿度

20℃・60%


4) その他

水やりは3 - 4日間に1回、1個体につき40 mlほど与えた。アラシステムのトレイが丸ごと入る黒色のバットを購入し、そこにアラシステムを入れ、水をアラシステムの横から与えた。水は少ないためエアレーションは行わなかった。

成長解析では、播種後27日目と38日目の2回収穫を行った。

開花時期等、繁殖関係のパラメーターを観察する時には、39日目から日長を18時間(6時から24時まで)に延長し、開花を促進させた。また、開花後の花茎の絡まりを防ぐため、同時期にAraconTubeという透明な筒を地上部にとりつけた。


5) 過去の栽培条件の検討経過


5-1) 土壌について

バーミキュライト:

 バーミキュライトは成長解析時に根に絡まり、根の重量測定を困難にするために、使用を控えた。また、種子回収用の生育時に使用してみたが、カビの繁殖がひどく、換気の悪いチャンバーでは使用を控えた方が良さそうであった。根腐れも起こりやすいようであった。


メトロミックスとバーミキュライトの1:1混合物:

 これを使用した場合、成長は砂耕よりも明らかに良かった。これは、柔らかく根がはり易い点と、メトロミックス中の栄養塩が生育を促進しているためと考えられる。しかし、根の重量を測定する場合には使用できない。


川砂:

 川砂はどうしても堅くなるため、根がはりにくく生長が遅いようだ。また、水分が蒸発すると水耕液中の栄養塩が表面で濃縮され、植物にストレスを与える。筆者らは、個体が十分に根をはってから(播種後12日目から)水耕液を与える方法をとる事で高濃度の栄養塩ストレスを回避した。


川砂と赤玉土の混合物:

 赤玉土が柔らかいため、川砂のみよりも生長が早くなる。また理由は解らないが藻類の成長を抑えられるようだ。赤玉土の他にパーライトや蝦夷砂も弱い成長促進効果があったが、赤玉土が一番効果が高かった。しかし、赤玉土に根が絡み易いため、根の重量を測定する場合に使用するのはあきらめた。


水耕栽培:

 成長解析において根をきれいに取りたいのであれば、水耕栽培が適しているが、シロイヌナズナの場合、個体が小さいため難しい。小さな穴の空いた黒いプラスチックの板を作り、その穴の上に寒天培地を薄く置き、そこに種子を乗せて発芽させる方法を試した。問題は、水位が絶えず変化してしまうため、プラスチックの板もその水位に合わせて変化するようにしないと個体が乾燥してしまったり、板の上で蒸発して濃度の濃くなった水耕液が溜まってしまうなどして、生育しない。発泡スチロールの板で水耕液に浮かせるようにすると改善される可能性はあるが、白いままだと光が水耕液中に届いてしまい、藻類が大量発生してしまうと考えられる。


5-2) 生育温度

20℃と25℃で生育を比べたところ、25℃ではひょろひょろとした個体になったため、20℃生育を選択した。


5-3) 日長

10時間であれば個体サイズが大きくなり、光合成速度に十分な葉の大きさにまで成長するため選択した。ただし、開花するまでは早いものでも45日程、51エコタイプの平均で2ヶ月程かかるようだ。8時間ではさらに大きく成長するが成長速度が遅くなる。


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