研究内容
初期発生過程における細胞周期制御
たった1個の受精卵は細胞分裂を繰り返しながら複雑な個体を形成します。つまり発生過程は、調和のとれた細胞増殖の結果といえます。私たちは基本的な細胞増殖の制御機構を研究すると共に、その研究を基に個体発生機構を解明しようとしています。
昆虫における運動制御の神経機構
カマキリが餌を捕獲する時、餌の位置に応じて前肢(鎌)の動きが変化します。感覚情報に応じて適切な運動指令を生成する機構は「感覚運動変換」と呼ばれますが、その仕組みはよくわかっていません。カマキリ神経系の構造や機能を調べることで、感覚運動変換を担う神経回路の解明を目指しています。
数理モデルを用いた生命科学の諸現象の解析
神経科学や生物物理学において研究されている諸現象、例えばシナプス伝達における短期可塑性や分子モーターによる細胞内物質輸送などを、数理モデルを用いて解析しています。
細胞内小器官(オルガネラ)の形成と機能に関する研究
細胞、とくに高等真核生物の細胞の内部には 様々な細胞内小器官(オルガネラ)が高度に発達しています。 各オルガネラは独自の機能を持ち、さらに異なるオルガネラが協調してはたらくことで細胞の生命活動が維持されます。 オルガネラが特有の形態や機能を持つ仕組みや、 細胞内外の環境変化に応答したオルガネラ機能の制御などについて研究しています。
線虫を使った生体内金属イオンの機能と制御
生体内金属イオンの中でマグネシウムイオンは、300 以上の酵素反応にコファクターとして働いています。そのため生体内のマグネシウムイオン濃度は厳密に制御されていますが、その機構は長い間不明でした。その仕組みを探るため、線虫 C. elegans をモデルシステムとして研究を行ったところ、3つの TRP チャネルがマグネシウムイオン吸収と排出の制御を担っていることを明らかにしました。