ゲノム生態ゼミナール@kyudai
生態学とゲノム科学の境界領域であるゲノム生態を推進するため、定期的にゲノム生態ゼミナールを開催しています。興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。
開催場所は理学部C棟9階数理生物学セミナー室(W1-C-909)です。
2019
第12回 長寿癌化耐性齧歯類ハダカデバネズミにおける耐性機構の探求
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10月4日(金)15:00から
三浦恭子(熊本大学・大学院先導機構・大学院生命科学研究部)
第11回 魚類の多彩な繁殖様式を導く二次性徴形質の多様化と進化の分子基盤
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7月26日(金)17:00から
荻野由紀子(農学研究院・国際農業教育研究推進センター)
真骨魚類は爆発的に適応・多様化して繁栄を遂げており、その共通祖先で起きた全ゲノム 重複後の遺伝子の再編成・新機能の獲得と、多様な形質発現との関連性が注目されている。
中でも雄に特徴的な求愛・闘争行動や装飾的な雄性形質の進化は、多彩な繁殖戦略を可能とし、真骨魚類の繁栄をもたらした重要な要因と考えられる。しかし、多様な雄性形質発現の遺伝的背景、分子機構の詳細は多くが未解明のままである。
アンドロゲンは脊椎動物において、二次性徴を誘導し、“雄性形質”を特徴付けている。それ故、アンドロゲンは、性決定、生殖腺の分化に続く、個体の性の確立の最終段階を担う実行因子である。哺乳類ではアンドロゲン受容体(AR)遺伝子は1分子種であり、脳神経系や生殖器、外部形態の二次性徴など多面的な発現を示すことから、それ自体の変異が多器官に影響を及ほすため、遺伝的な拘束を強く受けていると考えられる。一方で、真骨魚類では、真骨魚類の系統で特異的に起きたゲノム倍数化により2分子種(ARα、ARβ)に重複したことで拘束を回避し、重要な生殖機能については重複遺伝子の補償作用から冗長性を確保しつつ、新たな機能を獲得したことか予想される。
今回は、ARの分子進化解析、メダカAR変異体を用いた表現型解析から、AR遺伝子の重複に伴う新機能獲得と、形態・神経機能における二次性徴形質の多様化との関連性を議論するとともに、卵胎生魚であるカダヤシの尻ヒレから交接器(gonopodium: GP)への移行、ソードテールフィッシュの性選択形質である尾ビレの伸長との比較解析から、二次性徴発現に共通の分子機構について議論したい。
第10回 De novo germline mutations in mammals: rates, spectra, causes and consequences
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6月11日(火曜日)16:30から
大野みずき(九州大学医学研究院基礎医学部門)
Germline mutations are the root source of all sequence variation between populations and species. Although DNA replication fidelity in the cells of wild-type animals is adequately high, some level of mutation still occurs in every generation. Since recent advances in sequencing technology have enabled the detection of DNMs by direct comparison of DNA sequences between parents and offspring, thus human DNM data have accumulated rapidly. Nevertheless, the causes of, and the mechanisms that generate, germline DNMs remain elusive. To date, the rate of human germline DNM has been reported to average 1.2 × 10-8 per nucleotide per generation and is affected by parental age, sex, and local genomic context. Thus, it is likely that there are multiple causes and drivers of mutagenesis, including spontaneous DNA lesions, DNA repair status and DNA polymerase errors.
Our major research interests are to clarify the causes and consequences of spontaneous mutations as well as to identify the factors that influence the mutation rate and spectrum in both somatic and germline cells. In the seminar, at first, I will briefly summarize the eukaryotic DNA repair systems that work properly by DNA damage type. Then, I will introduce the recent findings of our research project on germline mutation in mice, focusing on oxidative DNA damage and respective repair systems.
第9回 塩基配列データを使った樹木の集団遺伝学的解析
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3月25日(月曜日)16:30から
舘田英典(九州大学大学院理学研究院)
第8回 一細胞データからダイナミクスを再構築する試み
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1月23日(水曜日)17:00から
前原一満(九州大学生体防御医学研究所)
当研究室では、次世代シークエンサーを用いたエピゲノム解析技術の開発を行いながら、骨格筋をモデルとした細胞分化における遺伝子発現選択のメカニズムの解明を目指している。とりわけ近年は、生体組織の形成過程における時空間的なエピゲノムのダイナミクスを計測するための技術開発に注力してきた。一方で、大量に観測した一細胞データからダイナミクスを推定するためには、各細胞の空間配置や時間といった、計測されない、あるいは計測困難なメタ情報をいかに補うかが重要な課題となってくる。そこで本発表では、ホッジ分解と呼ばれる数理的なフレームワークを用い、分化や自己複製といった、細胞群の持つ潜在的な時間の流れを解析するアイデアを紹介したい。ベクトル場の概念である勾配や発散といったアナロジーが、複雑な時間の構造を定性的に理解する助けとなると考えている。また、一細胞データに限らない、分野を超えた本提案手法の応用の可能性についても議論したい。
2018
第7回 アブラムシの多型からみた進化生物学
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12月11日(火曜日)16:30から
小川浩太(九州大学比較社会文化研究院・生物多様性講座)
第6回 Moving beyond classical genome-wide association studies - complex traits and extended models
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10月17日(水曜日)16:30から
佐々木江里子(Gregor Mendel Institue of Molecular Plant Biology)
第5回 遺伝子、行動、感性からとらえる色覚の進化と多様
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9月18日(火曜日)16:30から
平松千尋(九州大学芸術工学研究院)
第4回 ホシササノハベラで解き明かす魚類の性転換と性的可塑性
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6月26日(火曜日)16時30分から
太田耕平(九州大学大学院農学研究院)