プロジェクト(2009−2010)の概要
プロジェクト終了後も、西風塾として活動を継続しています
DNA複製、修復、組換え、分配は、細胞のゲノム情報伝達の基盤であり、細胞増殖、生殖発生、発癌、老化などの基礎科学、さらに、これらを制御する応用科学にとって極めて重要である。
近年、頭書のようなゲノムDNA動態においては、多数の蛋白質やDNA因子、RNA因子が、高度に連係して動的な制御系を作り上げていることがわかってきた。 さらに、DNAを足場としてこれらの多様な因子が多数集結し、動的で高度な機能を持つ集合体を形成していることもわかってきた。
ここではこのような集合体を「超高次複合体」と呼ぶ。
つまり、DNA複製、修復、組換え、分配を中心とするゲノムDNA動態においては超高次複合体が主役を果たしているのである。
このような超高次複合体は、個々の因子がもつ性能を超えた特有の機能をもつので、超高次複合体としての特有の機能や構造の動態を解明する必要がある。
一方、このような動的で巨大な高次複合体を解析する手法は、発展段階にあり、確立したものはない。
よって、本計画では、超高次複合体によるゲノム動態研究を合理的かつ効果的に迅速進行させるため、先端研究者を組織化し、解明研究と解析法開発を協同して効率的に促進する。
このような新パラダイムに迅速に対応し先端研究を継続的に推進するため、独自の若手育成プログラムを遂行し、拡大研究会を開催する。
本学には、ゲノム動態研究を世界最先端で支えてきた歴史もあり、現在も医、農、薬、理、生医研の各部局で最先端レベルのゲノム動態解析が進行している。
これらを組織した本計画が九大で実施されることには特別の意義がある。
しかも本計画の組織的活動で共通研究基盤に立ちつつ、多岐にわたる対象材料や研究手法を駆使するため、多角的で戦略的な研究展開と新たな融合分野が構築できる。
ゲノム動態制御の他にも、細胞内の多くの生命活動において、多様な超高次複合体が形成されているので、他分野への波及促進効果も見込まれる。