平成24年度 九州大学教育研究プログラム・研究拠点形成プロジェクト (E-2タイプ/理工農系)


気孔機能を改変した温暖化対応型 CO高効率利用イネの開発

研究代表者:楠見健介(理学研究院 生物科学部門)

 
 

研究代表者:楠見 健介(理学研究院・助教)

研究分担者:熊丸 敏博(農学研究院・准教授)  

 

研究組織

気候の温暖化と大気中の CO2 濃度増加傾向は今後も続くと考えられており、穀物をはじめとする食料生産への影響が懸念されています。既にイネにおいては温暖化に伴う高温登熟障害や収量の低下が顕在化していますが、大気 CO2 濃度の増加は気孔閉鎖と葉温の上昇を通じてそれらを促進すると予想され、対策技術の開発が急務となっています。本課題では、最近理学研究院で発見された、気孔開度を調節する孔辺細胞特異的陰イオンチャネルSLAC1の改変を通じた、気孔の環境応答性を高温、高 CO2 環境適合型に最適化した高生産性イネの開発を目標としています。

研究目的

 

近年の温暖化と大気中の二酸化炭素(CO2)濃度上昇は世界的に広く知られている現象です。IPCCの報告では世界の平均気温は10年あたり0.13℃の割合で上昇、大気 CO2 濃度はこの50年の間におよそ320ppmから380ppmへと増加しており、今後もこの傾向が続くと予測されます。このような急激な環境変化はそれらを利用する植物の生育にも大きく影響しますが、特に穀物をはじめとする食料生産への影響が懸念されており、高 CO2 環境と温暖化に適応した作物の開発技術の確立が急務となっています。植物は葉の表皮組織に存在する気孔の開閉を通じて、大気中の CO2 取り込みによる光合成の調節と、体内の水分の放出を通じた葉温の調節を同時にコントロールしている。最近、申請者の研究室において、気孔開閉を直接制御する植物タンパク質SLAC1がシロイヌナズナから単離されました(Negi et al. 2008 Nature)。本課題では、このSLAC1の生理機能に着目し、SLAC1の構造を人為的に改変した高温耐性型のCO2高効率利用イネの開発と検証を行います。改変型SLAC1を用いて、乾燥ストレス適応力を喪失することなく高い CO2 取り込み能力と葉温調節機能を持つ気孔機能改変イネの開発をめざします。     

研究概要