Selected Publications

Yoshizumi, T. et al. (2017) RLR-mediated antiviral innate immunity requires oxidative phosphorylation activity.
Sci. Rep.
, 7, 5379. [Link]


Yoshizumi, T. et al. (2014) Influenza A viral protein PB1-F2 translocates into mitochondria via Tom40 channels and
impairs innate immunity
. Nat. Commun., 5, 4713. [Link]

Sasaki, O. et al. (2013) A structural perspective of the MAVS-regulatory mechanism on the mitochondrial outer
membrane using bioluminescence resonance energy transfer
.
Biochim. Biophys. Acta - Mol. Cell Res., 1833,
1017-1027.
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Koshiba, T. (2013)
Mitochondrial-mediated antiviral immunity. Biochim. Biophys. Acta - Mol. Cell Res., 1833,
225-232.[Link]


Koshiba, T. et al. (2011) Mitochondria and antiviral innate immunity. Int. J. Biochem. Mol. Biol, 2, 257-262.
[Link]


Koshiba, T. et al. (2011) Mitochondrial membrane potential is required for MAVS-mediated antiviral signaling.
Sci. Signal., 4, ra7. [Link]

Koshiba, T. et al. (2011) Structure-function analysis of the yeast mitochondrial Rho GTPase, Gem1p: Implications for
mitochondrial inheritance.
J. Biol. Chem., 286, 354-362. [Link]


Yasukawa, K. et al. (2009) Mitofusin 2 inhibits mitochondrial antiviral signaling. Sci. Signal., 2, ra47. [Link]

Koshiba, T. et al. (2004) Structural basis of mitochondrial tethering by mitofusin complexes. Science, 305,
858-862. [Link]


  本研究では、上記のような細胞内におけるミトコンドリアの形態変化が、蛋白質レベルでどのように調節されており、さらにこの動的平衡が生物の高次機能に及ぼす生理的な意義について理解することを目的とし、特にウイルス免疫応答におけるミトコンドリアの生理機能解析を中心に研究を行っている。私たちの研究グループでは、このような研究テーマを行っていく上で、細胞生物学、蛋白質科学、構造生物学、及び生物物理学的な実験手法を用いて学生を中心に研究を進めております

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研究内容

ミトコンドリア形態調節の分子基盤解析
  研究の背景

  真核生物の細胞内には、核、ゴルジ体、小胞体、ミトコンドリア等の様々な細胞小器官(オルガネラ)が独自の機能を発揮し、それぞれに生体の運営に関わっている。なかでもミトコンドリアは、その特有の構造および機能からユニークなオルガネラとして今日に至る研究対象となってきた(1)。ミトコンドリアはその由来として、好気的バクテリアが最古に真核細胞の前身に感染し、その後の進化の過程で真核細胞には不可欠のオルガネラとして共生していったと考えられている。ミトコンドリアに独自のDNAが存在し、二重膜構造になっていることはその名残と考えられている。ミトコンドリアの細胞内における生理的役割は、ATPの産生である。ところが、近年のミトコンドリアを巡る研究環境には目覚しい発展があり、その機能発現は細胞内エネルギー代謝にとどまらず、ミトコンドリアの機能低下によるアルツハイマーやパーキンソン病等に代表される神経変性疾患、不妊症、老化、発癌、及びウイルスに対する自然免疫等、様々な現象との関連性が指摘され、特に我々の健康に多大なる影響を及ぼしていることが知られるようになってきた。

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 本研究の狙い
  

  近年、ミトコンドリアの新たな生理現象として、ウイルスに対する自然免疫と密接に相関していることが報告された。本来、哺乳動物のRNAウイルスに対する自然免疫は、Toll様受容体(TLR-3)が、その一躍を担っており、ウイルスの核酸(RNA)を主にエンドソーム内に発現しているTLR-3が認識・シグナル伝達し、最終的にウイルス制御因子であるI型インターフェロン(IFN)を産生することで、免疫応答反応を誘引する(3; TLR経路)。一方、TLR-3非依存的に進行する経路も存在する(RIG-I経路)。例えばC型肝炎ウイルスやセンダイウイルスのように、生体膜融合により宿主細胞内に移行したウイルス由来の二本鎖RNA (dsRNA)は、細胞内RNAセンサー分子であるRIG-I、またはMDA-5 (DExD/H box RNAヘリカーゼ)によって感染初期に認識され、そのシグナルがミトコンドリア外膜上に局在する膜蛋白質MAVS (Mitochondrial anti-viral signaling)へと伝達される。その後、一連のシグナル伝達過程を伴い、転写因子(IRF-3/7NF-kB)の活性化、最終的にはTLR-3経路と同様にIFN産生へと導かれる。このように、ミトコンドリアを介した自然免疫応答の理解は大変興味深いテーマの一つとなってきている。

2.ミトコンドリアは細胞内で融合と分裂を絶えず繰り
返し、その形態を維持しているダイナミックなオルガネ
ラである。
(図は小柴ら、生物物理(2011)より引用。)

1. NIH3T3細胞内のミトコンドリアの様子。(写真は小柴ら、生物物理(2011)より引用。)

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3. RNAウイルスに対する自然免疫応答の概略図。哺乳動物の細胞内抗ウイルス自然免疫反応では、ミトコンドリアがシグナル伝達の重要な役割を担っている。(図は小柴、生化学(2010)より引用。)

 細胞内におけるミトコンドリアの形態、及びその異常に伴う疾患との関連性
  細胞内におけるミトコンドリアの形態は特徴的で、一般的に細胞質全体に管状の網様構造 (tubular network)を形成・分布し、動的に分裂・融合を繰り返している(2)。しかしながら、この平衡状態に異常を来した際、様々な疾患に結びつくケースが次第に明らかとなってきた。

  例えば、神経変性疾患の一種シャルコー・マリー・トゥース病
(タイプ2A)は、本来シナプス小胞の輸送に関わるモーター蛋白質
(KIF1Bβ)がその原因遺伝子とされてきたが、2004年に初めてミトコンドリア融合の中心的分子であるMFN2に突然変異が起こることでも発症することが報告された。その後、マウス培養細胞を用いた研究から、これら突然変異がミトコンドリアの形態異常を導くことが確認され、ミトコンドリアの形態異常と個体への影響が綺麗に説明できるようになった。また他の症例として、ミトコンドリア内膜の再構築・融合に関わる遺伝子(OPA1)に突然変異が起こると、優性視神経萎縮・失明に至るケースも報告されている。ミトコンドリアの形態異常は発生過程においても極めて重要であることが分かり、ミトコンドリア融合(MFN1MFN2、及びDRP-1)に関わる遺伝子をそれぞれノックアウトしたマウス個体は胚致死に至ることも明らかになったこのように、ミトコンドリアの形態異常による個体への影響は徐々に明らかになってきたが、その中で形態調節に関わる蛋白質の変異(異常)がそれらの活性、さらには高次機能にどのようにして障害をもたらすのか?」 この問いに答える分子基盤的研究は依然、未解明のまま残されている。

 ミトコンドリアと抗ウイルス自然免疫