プロジェクトY
研究成果
- 植物分布調査(2004)
研究資金
環境省環境技術開発等推進費補助金(2004-2006)『地域生態系の保全・再生に関する合意形成とそれを支えるモニタリング技術の開発』
→ 生態系管理プロジェクト
(準備中)
九州大学P&P(2004-2006) → 生物多様性拠点形成プロジェクト
| 生物多様性研究コンソーシアム
プロジェクトの目標
- 屋久島の植物に関する徹底した分布調査を実施し、どこに希少種・絶滅危惧種が自生しているかを明らかにする。また、どの種がヤクシカの摂食を受けて減少しているかを明らかにする。
- ヤクシカの夜間センサスを行い、10年前のデータと比較し、どの程度増加しているかを明らかにする。
- 以上のデータを総合し、屋久島の希少種・絶滅危惧種の絶滅リスク評価を行う。
- 希少種・絶滅危惧種の絶滅を回避するために、シカ防護柵を設置し、絶滅リスクがどれだけ低減されるかを評価する。
- 調査データを随時島民・行政に公開し、どのような対策をとるべきかについての合意形成を進める。
- 植物に関する徹底した分布調査を実施する地点で、昆虫や陸貝の分布についても調査し、今後の変動を把握できるようにする。
このように、矢原プロジェクトは、種の保全に徹底して役立つことを目標に立案した。ただし私は、基礎研究者を本業としているので、基礎研究面でも新しい成果が出るように考えている。
屋久島の生物多様性保全の担い手は、屋久島の島民であるべきだと思う。この意見に、ヤッタネ調査隊の手塚さんが賛同してくださり、矢原プロジェクトの現地説明会や、島民の方々との交流会(飲み会)の開催などに、協力してくださっている。このような島民と研究者のネットワークを、さらに広げて行きたい。
経緯
屋久島は、東大で助手になってすぐに研究フィールドに選んだ島であり、私にとっては忘れえぬ「青春のフィールド」である。その屋久島の植物相が、ヤクシカの急増によって、激変しつつある。コモチイヌワラビはすでに絶滅し、かつての普通種であるヤクシマタニイヌワラビも絶滅寸前である。この危機的事態は、1997年の環境省レッドリスト公表時には、顕在化していた。それ以来、環境省などに、調査や対策をお願いしてきたが、事態は悪化するばかりである。やむにやまれず、新しい屋久島プロジェクトを組織して、調査に乗り出した。
屋久島と私の関わりを年表にまとめてみた。
- 1984-1987:日本生命財団・日産科学振興財団の助成による屋久島固有植物の調査
- 新種ハナヤマツルリンドウ・新変種ヤクシマシソバタツナミを発見し、記載。
- ヒメキツネノボタンを50年ぶりに再発見。
- ヤクシマヤマツツジなど、分類学的研究が遅れていた固有植物を再評価し、屋久島の固有植物を47種・2亜種・30変種に整理。
- 1994-2000:環境省植物レッドデータブックの編集
- ヤクシカによる摂食のために数種のシダ植物が激減している事態が判明し、ヤクシマタニイヌワラビ・アオイガワラビなどをレッドリストに掲載。
- 2000-2003:ヤクタネゴヨウの増殖・復元緊急対策事業の検討会委員
- 花山原生自然保護区の林床植生が、わずか1年で顕著に減少しているのを目の当たりにして、危機感を募らせる。
- 2003-2004:ヤクシカ・タヌキに関する検討会委員
- 2003年10月の第1回の会議で、ヤクシカの摂食が屋久島の生態系にとって待ったなしの大問題であるという危機感が、なかなか伝わらないもどかしさを感じる。合意形成のためには、実状に関する説得力のあるデータが必要だと感じ、研究プロジェクトを組織することを決意。
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