甲虫類の幼虫、サナギ、成虫の生理学と行動学  市川 敏夫

甲虫類はもっとも繁栄している昆虫グループである。幼虫の体性感覚、蛹の防衛行動、成虫の歩行の制御機構などについて研究しています。

サナギの防衛行動と刺激受容メカニズム

3種の防衛行動:サナギの可動部は腹部。ゴミムシダマシ類の蛹は刺激部位や行動パターンの違いによって、少なくとも3種の防衛行動をする。

 刺激部位応答パターン推定される機能
付属肢腹部回転反射幼虫カニバリズムに対する防衛
ジン・トラップ周辺シン・トラップ閉-開反射と腹部回転寄生性昆虫や捕食性昆虫に対する防衛
腹部腹側腹部振動と腹部回転寄生性昆虫や捕食性昆虫に対する防衛

①腹部回転反射

(1)腹部回転反射

②ジントラップの閉-開反射

(2)ジントラップの閉-開反射

③40 Hzの振動

(3)40 Hzの振動

感覚器:体の表面には接触刺激を感じる感覚毛や接触によるクチクラのゆがみを感じる感覚子がある。

①,②,③の行動を引き起こす主な感覚受容器

①,②はクチクラのゆがみを感知する鐘状感覚子
鐘状感覚子 鐘状感覚子
③は接触を感知する毛状感覚子
毛状感覚子

成虫歩行の感覚情報による制御

 昆虫は6本の肢を使い、水平面はもちろん、垂直面や逆さの面も上手に歩くことができる。
 歩行中の各肢にかかる負荷や関節の曲がり具合は外骨格(クチクラ)の歪みセンサー(鐘状感覚子)と肢内の伸張センサー(弦音器官)などの感覚器官によってモニターされ、各肢の動きが巧妙に調節されている。
 ふ節の先端にある爪も土台をしっかり捕捉するのに重要で、われわれはオオゴミムシダマシの爪の中に多数の鐘状感覚子があることを発見した。
 この爪の中の歪みセンサーを焼いて不活化すると歩行傷害が起きることから、その歩行調節における機能について研究を開始した。
 これまでに調べられているゴキブリやバッタの歩行調節機構と異なることが予想され、そのしくみはいろいろな面を歩行できるロボットにも応用可能であろう。

爪の中の歪みセンサー
粒状に見えるのが鐘状感覚子のキャップ構造。

爪の中の歪みセンサー

立脚期の開始時(0ms)から終了時(500ms)の爪の動き(ユミアシゴミムシダマシ)

爪の動き

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